平成29年4月法令等の変更 -貿易保険-

4月の新年度になると、他の分野と同様、貿易分野でも多くの変更があります。
当然、各種の資格や検定の試験内容にも影響しますので、数回に分けて、主なものを紹介しましょう。

まずは、貿易保険の分野です。
日本では貿易保険は、民間開放を行っている部分を除いて、「日本貿易保険」が引き受けています。

この「日本貿易保険」ですが、これまでは法人形態として「独立行政法人(独法)」でしたが、4月1日より「株式会社」となりました。
株式会社となったといっても、政府全額出資の特殊会社に移行しただけですので、日本政府の政策との一体性が維持されることは変わりません。
しかし、「経営の自由度、効率性、機動性を向上させる」ことを目的にしての株式会社化ではあります。

3月末日までに締結された貿易保険契約は承継されます。(契約内容の技術的な読み替えはありますが。)
「海外商社名簿」についても、もちろん、株式会社化後も日本貿易保険が公開します。

一方、4月1日以降は、新たな保険約款等が適用されます。
それほど大きな変更はありませんが、試験に出題される可能性のある変更が1点あります。
それは、貿易一般保険に係るてん補率です。
これまで、貿易保険では、保険金額は取引金額の100%未満で、損害発生時にはどうしても被保険者に負担がありました。
しかし、4月より、船積後の非常危険について100%てん補されるオプションが登場しました。
「オプション」というのは、これまで同条件では97.5%だったものが、100%か97.5%を選べるという意味です。

例えば、「貿易保険では損害額は100%てん補されることはない。」という問題が出題されたら、「100%のときもありうるので、誤り」ということになります。
正しい記述にしようとするならば「貿易保険では損害額は必ずしも100%てん補されない。」というものになりますね。

貿易保険のてん補率は、貿易実務検定ではよく出題される範囲ですので、注意して下さい。