平成29年法令等の変更 -加算税 その1-

今年施行された法改正のうち、今年の通関士試験で出題されるテーマとなるだろうと思われる重要ポイントは、1月に施行された過少申告加算税、無申告加算税の算出方法に係るものだと思います。
とくに、通関実務の科目で出題される可能性が高いでしょう。

まずは、過少申告加算税についてです。
(1)税率のパターンについての変更
これまで、過少申告加算税の税率には下の2パターンありました。
(いわゆる5%加算分や、金額が小さい場合を除く)

  • 10%となる
    通常の場合
  • 課されない
    ①正当な理由がある場合
    ②更正があるべきことを予知せずに修正申告を行った場合

これが、法改正によって、下の3つに分かれました。

  • 10%となる
    税関長による調査の結果行われた修正申告や更正の場合
  • 5%となる
    税関長による調査の事前通知後、更正があることを予知せずに修正申告を行った場合
  • 課されない
    ①正当な理由がある場合
    ②税関長による調査の事前通知前に行われた修正申告である場合

つまり、いわゆる「事後調査」がある旨の連絡が来る前に自主的に修正申告を行った場合には「課されない」という点は変わりませんが、連絡が来てから調査前までに自主的に調べなおして修正申告を行った場合には「5%を課す」というルールが加わったことになります。
これによって、以前の「更正があるべきことを予知せずに」という「予知」という言葉の曖昧さが無くなると共に、自主的な修正申告をより促すことになったといえるでしょう。

(2)以前に減額更正があった場合
もう1つの点が、当初申告後に減額更正があり、その後の修正申告や増額更正があった場合です。
これまで、このパターンでは、減額更正後の金額と、修正申告や増額更正後の金額との差額が、増差税額として過少申告加算税の課税標準となっていました。
しかしこれは、考えて見れば「税関が下げた金額、つまり、税関が間違った金額のせいで、課税標準が大きくなってしまった」という、ちょっと理不尽な話です。

今回の法改正では、この点が是正され、当初申告に係る税額に達するまでの税額は、過少申告加算税の計算の対象から控除することになりました。
ただし、この改正点についてはもう少し細かい規定がありますので、本年度試験用として出版されている各テキスト本の内容をよく確認したほうがいいでしょう。

上記のとおり、今年より過少申告加算税の算出においては、課される原因となったシチュエーションがポイントになります。
試験問題では必ず記述されているはずですので、問題文から見逃さないように注意しましょう。

次回は無申告加算税について説明します。