日本でのIATAディプロマ試験はどうなるのか?

貿易分野の資格の1つにIATA Diploma(国際航空貨物取扱士)があります。
名前のとおり、航空貨物運送分野の資格ですが、IATA公認航空貨物代理店(IATA Cargo Agent)となるには、Air Waybillを発行する営業所にこのDiplomaの基礎コース、危険物コースの取得者が2名以上在籍している必要があります。

先週(2019年10月18日)、航空貨物運送協会(JAFA)にて、このIATA Diploma取得のための、受講申込受付が開始されました。(11月13日締切)
「受講申込み」というのは、IATA Diplomaを取得するためには、IATAから送られてくるテキストで自習して試験に臨むことが前提になっているためです。
この自習のための登録のことを、IATAでは「受講申込み」と呼んでいます。

IATA Diploma試験は一般的な資格試験と少し変わっており、IATA公認の研修センター(IATA ATC)が試験実施団体となりますが、それが各国1つとは限りません。
ここ日本では広く一般に受講申込受付を行っているのは、上記のJAFAですが、ここから、日本でIATA Diploma取得するためのプロセスについて気になる告知が出ています。

IATAでは、2020年より試験形式をこれまでのペーパー試験からWEB試験に変更すると告知しています。
JAFAではすぐに対応できないとしてIATAに猶予を求め、2020年3月と9月試験分については従来通りのペーパー試験での実施が認められました。
先週から受講申込受付が開始されているものは、この3月と9月試験を対象とするものですが、この案内にて今回の募集が「JAFAが窓口となる基礎コース募集としては最後となります」との記載があります。
この記載のとおり、今後、JAFAがIATA Diplomaの受講申込受付を行わないのであれば、日本で一般人が資格取得できるプロセスが無くなってしまいます。

当社では貿易実務インターネット講座でWEB試験をやっていますのでわかりますが、WEB試験というのは難しいものです。
受験者の自宅で受験となれば、パソコンのOSやブラウザなどが全受験者に対応できるのか確認しずらいですし、回線が切断したらどうなるのか、受験結果データが送信されない可能性はないのかという問題があります。
どこかに受験生を集めて試験をするにしても、正しく動作するPCを人数分揃えなければいけません。
いずれにしても大きな負担と言えます。

そう考えれば、JAFAがWEB試験を忌避する理由もわからないわけでもありませんが、日本でDiplomaを取得できるプロセスが無くなってしまうことは、ひいては、日本でのIATA公認代理店資格を維持することに問題が生じるでしょう。
この問題が今後どうなるのか様子を見る必要がありますが、とり急ぎとしては、IATA Diploma取得を目指される方は、多少の無理は押しても今回の受講申込みをしておくことをお勧めいたします。