武器の見本市、再輸出の輸出管理は?

2019年11月18日から20日の3日間、日本初の防衛・セキュリティ総合展示会「DSEI Japan」が千葉の幕張メッセで開催されました。
防衛・セキュリティの総合展示会とありますが、実質的には武器・兵器の見本市です。
ニュースによると対戦車ミサイルやドローンを撃ち落とすことができるレーザー兵器などが出展されていました。

日本国内から60社出展しただけでなく、海外からもおよそ90社が出展したそうです。
見本市ですから、海外からの出展については武器・兵器のサンプルやその技術的資料の持ち込みがあります。
見本市では持ち込まれたモノを即売することはなく、持ち帰る(再輸出する)ことになります。
となれば、外為法の輸出や役務提供の規制対象になるかどうかを考えなければいけません。
では、どのように対応したのでしょうか?

まず、おそらくこの見本市は保税展示場で開催されたと思いますが、関税法の輸出/輸入の概念と違い、外為法における輸出/輸入は国境を超えるかどうかなので、保税展示場での開催かどうかは関係ありません。

考えるべき点は「貨物に係る無償特例」です。
無償告示に定められた許可の取得が不要になる条件の1つに「日本で開催された見本市に出展するために輸入されたものを、返送のために再輸出する場合」が挙げられています。
ならば、今回の見本市への出品物が返送される際には輸出の許可取得が不要になるかというとそう単純ではありません。
というのは、この無償特例は輸出貿易管理令別表第1の第2項から15項のリスト規制品に適用されるものの、第1項(武器・兵器)については適用外となっているためです。
よって、今展示会のような明らかな武器・兵器が出品物である場合、返送には輸出許可の取得を要することになります。

一方、出品者が持ち込んできた技術的資料についてはどうでしょう?
外為法で技術提供(役務提供)について許可を要するのは「非居住者に該当する技術を提供する行為」ですから、その技術を持つ者が国境を越えて移動するかどうかは関係ありません
また、出品者は元々、その技術を持っている人ですから提供を受けたわけではありません。

問題は、出品者が見本市と同時に開催されるシンポジウムなどで海外の来場者に提供する場合です。
こういう不特定多数の者が聴講できるシンポジウムや講演については、外為法(正確には、貿易関係貿易外取引等に関する省令)で「公知の技術を提供する取引又は技術を公知とするために当該技術を提供する取引」の1つに挙げています。
これに該当する場合は、役務取引許可の取得は不要となります。

このように、貨物、役務のいずれについても許可取得が不要になる特例について考える必要がありますし、貨物なのか役務なのかについて対応が変わります。
STC試験では、こういった貨物と役務によって対応が変わること、例外に関する問題、さらに例外の例外に関する問題は頻出です。
問題文を読んで混同しないように注意しましょう。