いつのまにか変わっていた条項番号

貿易には様々な法令が関係しますから、この分野の資格試験でも法令をテーマにした問題はよく出題されます。
法令そのものが試験内容である通関士試験やSTC試験(安全保障輸出管理実務能力認定試験)では、問題文中に法令名+条項番号が示されている問題がほとんどです。
貿易実務検定でも、それほど数は多くないものの出題されます。

では、試験対策として、法令名はともかく条項番号まで覚える必要があるでしょうか?
答えから言えば「そこまでは必要ない」と言えます。
条項番号が記載されているのは、基本的には問題文の記載内容が他の条文のものと混同されないように(曖昧にならないように)するためです。
ですので、問題の内容と条項番号との一致を問う(論点になる)ことはまずありません。
しかしやはり例外というのはあって、下のものについては条項番号そのものが問題になります。

  • 関税法の「輸出してはならない貨物」「輸入してはならない貨物」のうち、不正競争防止法関係のもの
    不正競争防止法でその対象となる行為は第2条第1項の中で〇〇号と示されています。
    しかし、関税法ではその全てが規制対象と挙げられているわけではなく、1~3号、10号、17号および18号のみです。
    この号番号とその内容の一致については、貿易実務検定や通関士試験で出題されます。
  • 関税法のBP承認を受けた貨物で納税申告額に誤りがなかった場合の納付通知書
    これは「関税法第7条の17の通知書」と呼ばれるもので、通関士試験では必ず覚えておくべき条番号です。
  • 外為法の25条と48条の違い
    主にSTC試験で出題される内容ですが、25条は役務、48条は貨物に関することであるというのは頻出です。
  • 輸出貿易管理令別表第1、外国為替令別表の各項
    こちらもSTC試験で出題されるリスト規制の対象となる物品・役務で、項番号がわからないと解けない問題が多く出題されています。ただし、全ての項番号と内容を覚える必要はなく、1項が武器、2~4項が大量破壊兵器関連、5~15項が通常兵器関連でうち14項が軍需品だということを覚えたら十分です。

だいたいこんな感じですが、皆さんの中には1つ目について「17号および18号?」と思われる方もおられるのでは?
これは以前は「11号および12号」であったもので、不正競争防止法の改正(11~16号が新規挿入)に伴って、関税法の内容も変わったものです。
ところがこの改正がちょっと変わっていて、私も最近まで気づきませんでした。
通常、通関関係の法令改正があると税関ホームページに新旧対照表とともに改正内容が掲載されるのですが、これが見つかりせんでした。
不正競争防止法の改正は2018年に行われ、施行日が2018年11月29日もしくは2019年7月1日でした。
にもかかわらず、いずれのタイミングにおいても関税法の改正情報として出ておらず(少なくとも税関ホームページでは)、いつのまにか条文が変わっていたという次第です。
そのせいか、2019年版の通関士試験対策本はいずれの出版社のものも前の番号である「11号および12号」になったままでした。
こういうこともあるんだなと意外に思うとともに、各試験を受験される皆様はご注意下さい。