通関士試験の得点構成が変わります

昨日、本年(第49回)の通関士試験の受験要項(試験公告)が発表されました。
詳細は税関ホームページに掲載されています。

試験日は予想通り、10月4日(日)です。
また、試験範囲の法令については従来どおりのもので、平成27年7月1日(水)現在で施行されているものです。

ただ、今年より得点構成がけっこう変わっています。

今年(49回) 昨年(48回)
通関業法 選択式 35点(10問)
30点(10問)
択一式 10点(10問) 10点(10問)
関税三法など 選択式 45点(15問)
35点(15問)
択一式 15点(15問)
15点(15問)
通関実務 申告書作成 20点(2問)
15点(2問)
選択式 10点(5問)
5点(5問)
択一式  5点(5問)  5点(5問)
計算式 10点(5問)  5点(5問)

合格には「各科目ごとに合格基準を満たすこと」が必要とされることは変わりありませんが、その基準点は発表されていません。
なので、ここでは(とりあえず)これまでのとおり6割と想定して考えることにします。

  • 通関業法、関税三法など
    通関業法は、40点満点だったものが、45点満点になりましたので、合格基準は24点から27点になります。
    関税三法などは、50点満点だったものが、60点満点になりましたので、合格基準は30点から36点になります。
    両科目とも、増加分は選択式の部分ですが、選択式、択一式いずれも出題数は変わりありません。
    語群選択と複数選択の割合が変わらないと想定すると、両科目とも、得点増加分は複数選択が 1問2点になるものと思われます。
  • 通関実務
    通関実務は、30点満点だったものが、45点満点になりましたので、合格基準は18点から27点になります。
    出題形式ごとの変更は下のとおりです。
    【申告書作成】
    一番、どう変わるのか不明なのがこの分野です。
    受験案内では「輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使用して行う輸出申告と輸入申告の問題を、前回(第48回)と同様の形式で各1問出題します。」とあるだけで、その「同様の形式」というのがどこまでのことを指すのかは不明です。
    従来は、輸出申告書が、品目番号のみで 1点/枠 × 5枠 = 5点、輸入申告書が、品目番号 1点/枠×5枠 + 金額 1点/枠 × 5枠 = 10点でした。
    今年から5点増えた部分が、「輸出申告書も金額を解答するようになって5点から10点になる」のか、「輸入申告書の金額が1枠2点にするようになって10点から15点になる」のか、受験案内の説明では完全にはわかりません。
    通関業法や関税三法の得点増加は「難易度が高いものを2点とする」ものと考えられるので、輸入申告書の金額を各2点にすると考えるのがいいかと思います。
    しかしながら、輸出申告書は品目番号だけであるがゆえに計算をほとんどしなくてよい(いうなればテクニック的になってしまっている)ことを鑑みて、こちらでも金額算出させようと考えている可能性は捨て切れません。
    ※解答させる品目の増加という可能性もゼロではありませんが、相当低いと思います。
    【選択式、択一式】
    出題数が変わらないことから、通関業法や関税三法などと同じく、選択式(複数選択のみ)の得点が各2点になると思われます。
    【計算式】
    出題数が変わらないことから、得点が各2点になると思われます。

こうやってざっと見たところ、複数選択(正しいもの/誤っているものを全て選べ)や、計算問題など、難易度が高い問題が2点問題になるのだろうと予想されます。
総得点が増えて合格基準点が上がった分、正解すべき問題数も増えますが、問題は得点増加分が難易度の高い複数選択であることです。
なので、通関業法や関税三法などでは、語群選択や択一式で合格ラインにかなり近い得点をマークすることが必要になります。
従来もそれがセオリーでしたが、今年は「これまでよりも語群選択や択一式は落とせない」と言ってもいいと思います。
また、通関実務においても、申告書の問題はより一層落とせなくなったと言えるでしょう。
個々の問題の難易度が下がるのなら別ですが、難易度が変わらないとしたら、試験全体で考えた総合的な難易度は上がると予想されます。