谷川岳に登頂
このお盆休みは、群馬県と新潟県の県境、日本百名山の1つである谷川岳に登ってきた。
谷川岳はトマの耳(標高1,963m)、オキの耳(標高1,977m)の二つのピークを持つ双耳峰であり、かつて三角点があったトマの耳が主峰と言われる。
様々な登攀ルートがある山だが、今回私が登ったのは天神平ルート。
初心者向けルートで標高1,319mまでロープウェイで上がれる。
谷川岳は首都圏から行きやすい山で、天神平ルートであれば谷川岳の入口である上越線 水上駅や土合駅に8:30頃に着く便がベスト。(私は前泊の前橋を7:24に発した)
ロープウェイ駅には、水上駅からはバスで、土合駅(無人駅)からは徒歩で行けるのだが、人気があるのは土合駅から。
というのも、土合駅下りホームは谷川連峰を貫く清水トンネルの中にあり、地上までは486段の階段(高低差約70m)を約10分かけて登らなければならない通称「日本一のモグラ駅」として有名だから。
多くの人が本格的な登頂前にわざわざ体力を削って階段を上がり、さらにロープウェイ駅まで15分ほど坂を上がって行く。
私が好きな山マンガ「ヤマノススメ」でも主人公達もここを上がっていたので、私もあえて土合駅からスタート。
ロープウェイで天神平まで上がり、さらにリフトで天神峠展望台(標高1,502m)まで上がる。
ここは360度の視界が開けており、これから目指す谷川岳だけでなく、朝日岳や武尊山など近隣の百名山がはっきりと見える。
ここを9:45にスタート。
少し楽しようとここまで上がったものの、結局は天神平からのルートとの合流点(標高約1,350m)まで降りたので、実はほとんど高度を稼げていなかった。
まあそれでも、樹林の中の道はよく整備されて歩きやすく、また、ロープウェイのウェブサイトに掲載されている案内マップでは山頂までなだらかな稜線歩きをする「楽な山」に見えるので少し飛ばし気味に歩く。
この日は天気が良かったので多くの登山者がおり登山道はアリの行列状態。
40分ほどで穴熊沢避難小屋に到着。
小休止だけで登頂を再開したが、すぐに「楽な山」という認識が間違いだったことに気付く。
谷川岳は気象が厳しいのでこのあたりが森林限界となっており、直射日光にさらされるようになった。
また、岩がちで鎖場、ロープ場もある急斜面の続く道になってきた。
道の狭い箇所では譲り合いとなるが、自分のペースが守れないのは疲労を蓄積させる素。
急登への覚悟が足りなかったこともあり、いつもより早く疲れてきた。
とはいえ、小さい子供がいる家族連れや高齢者もいるので、疲れは単に私の修行不足というべきか。
「もう登れない~」とムズがっている子供を見ると、私もここで諦めたくなるが、あの人がたくさんいる岩場(天狗のトマリ場)まで、あの坂を上がりきった岩(天神のザンゲ岩)までと登り続けているうちに、山頂直下にある山小屋 肩の小屋に到着。
ホッとすると疲れが抜けていくような気がするので不思議なものだ。
残念ながらこの時点で山頂付近は雲の中に入ってしまっていたが、あとひと踏ん張りということでそこから約10分の山頂に急ぐ。
山頂 トマの耳に着き三角点跡の石標を踏んだのは12:15。
登りはほぼコースタイムの2時間30分。
山頂は思ったより涼しくなく20℃前後というところか。
谷川岳は、百名山であるだけでなく、上述の「ヤマノススメ」でもストーリー上で重要な山として取り上げられているために、東京出張があるたびに登りたいと思っていたが、なかなかタイミングや天候状態が合わなかった。
今回やっと念願がかなって感動もひとしおだ。
ここからオキの耳に行ってもよかったが、雲に覆われて展望は望めないので、まあいいかと肩の小屋に戻って昼食。
私はコンビニ弁当だけだったが、多くの人がコンロを持ち出し調理をしていたり、コーヒーを飲んだりしていたのが羨ましい。
旅程に空路があるとコンロを持ち込めない(携帯燃料が航空危険物扱いなので)からだが、なんとかできないものか・・・
続々登ってくる登山者のために肩の小屋付近は大混雑なので、休憩もそこそこに下山開始。
急坂は登りは体力を使うが、下りは滑らないよう、転ばないように集中力を使う。
トレッキング・ポールは下りで身体を支えるのに便利だが、鎖場やロープ場ではむしろ邪魔になり危ないこともあるので、畳んだり伸ばしたりを何度も繰り返す。
ところでここ谷川岳は標高2,000m弱とそれほど高山とは言えないものの、遭難事故が多い「魔の山」「人喰い山」として知られている。
1931年から2012年までの死者数805名は、世界各国の8,000m級14座の死者の合計637名と比べてもずば抜けて多く、ギネス世界記録(ワースト記録)となっているほどだ。
(土合駅近くに慰霊碑もある)
そのほどんどはロック・クライミングの名所である一ノ倉沢ルートで起こっているもの。
今回の天神平ルートでは重大事故は滅多にないが、気を抜いても大丈夫というわけではないのは言うまでもない。
この日も下山中に救助ヘリが周囲を飛んでおり、訓練かと思っていたが、実際に事故が起きていた。
穴熊沢避難小屋上空からラペリング降下してきた救助隊員が岩場から滑りおちたのであろう女性に救急手当をしている姿に遭遇。
ヘリの下はダウンウォッシュによる強風でしばらく通行止めになるし、後ろでは岩場を降りるのを待っている人がどんどん溜まってくるしで現場は騒然。
それほど重大な事故ではないように見て取れたが、足など折れていなければいいのだが。
天神平のロープウェイ駅に戻ったのが14:45で、これもコースタイムのとおり。
百名山ということで記念にTシャツを自分へのお土産とする。
下山後は水上温泉で汗を流し、サイダーを飲んでスッキリ!
温泉でしっかりと足を揉んだおかげで翌日に筋肉痛が出ることもなく安心。
コースの斜度を甘く見ていたことと思ったよりも高い気温で予想外に披露した山行きだったが、ちゃんと認識して気候の良い時期ならば、たしかに初心者でも十分に登れる百名山だと思う。
秋はまわりの山を含めて紅葉が素晴らしいそうなので、今度はその時期に来たいなぁ。
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土合駅から地上への長い階段
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天神峠展望台からの谷川岳
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多くの人が登る登山道。下に見えるのは水上の町。
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山頂に向けて登山者がアリの行列
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肩の小屋。多くの人が昼食中。
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トマの耳に到着。周りは雲で真っ白。
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救助に来たヘリ。下の赤い屋根は穴熊沢避難小屋。