霧氷を見に観音峰へ

今冬はシーズン前に「今年こそスノーシューを買おうか?それともワカンのほうがいいか?」と思案していたのがウソみたいに雪がない。
例年なら雪山に霧氷を見に行くものを、積雪レーダーを見てもちっとも。
先週末にようやく雪が降ったようなので「もう我慢できない!」とばかりに、霧氷で有名な天川村の観音峰に行くことにした。
観音峰は大峰山系の端にある標高1,347mの山。

天川村は奈良でも山奥になるが、この時期は大和八木駅から臨時バス「霧氷バス」が出ているので、それを利用するのが便利。
大和八木駅には私と同じく霧氷狙いと思われるザックを背負った人がたくさんいたが、多くの人は三重方面に乗り換えていた。
おそらく同じく霧氷バスが榛原駅から出ている、三峰山か高見山に行く人達だろう。
こと霧氷についてはそちらの方が有名なのだが、積雪レーダーでは観音峰の方が深いようで、どっちが正解だったのか難しいところ。
 
大和八木では白梅が満開になっていたので、ほんとうに雪があるのか心配だったが、天川村に入るころには積もっていて一安心。
8:00に出発した霧氷バスが観音峰登山口(標高約830m)に到着したのは9:40と登山開始としては少し遅め。
 
観音峰の登山道は斜度もさほどなく道も広い。
途中に登り返しもほとんどなく累積標高差も500mほどなので、初心者向けの山と言える。
しかし、冬山はどんな低山でも油断してはいけないので、最初からチェーンアイゼンを装着しての登山開始。
途中までは吉野杉の植林帯を歩くが、風が強い(気象情報では10mを超えていたようだ)と細い幹がたわんで「キュイッ、キュイッ」と鳴るのが面白い。
昔の人は夜にこういう音を聞いて、妖怪がいると思ったのかもしれない。
小雪が舞うなか登るにつれて積雪も深くなってくるが、霧氷(樹氷)はまだ見えない。
 
ところで観音峰は、霧氷よりもむしろ南北朝時代の南朝遺跡の残る山として有名。
そもそも観音峰の名も、北朝に追われた護良親王がこの山にある岩屋に身を隠して難を逃れ、その後、後村上天皇がその岩屋に籠られた際に十一面観音が現れたという故事からつけられたもの。
岩屋(奥にお地蔵様が祀られている)に至る道にはガイド板がいくつもあるので、初めて登る人は読みながら歩くのも、歴史ロマンを感じられて楽しいと思う。
 
歩き始めて約90分(11:30頃)に360度視界が開けた観音平(標高1,208m)に出た。
天気が良ければ大峰山系が一望という絶好のビューポイントなのだが、あいにく雪雲がかかっていてごく近い大日岳と稲村ヶ岳しか見えなかった。
ちなみに観音峰を紹介する本やサイトでは、この観音平にある標柱の写真が掲載されていることが多いのだが、ここは山頂ではない。
山頂に行くにはもう少し登らなければいけないが、このあたりに来て少しづつ樹木に「霧氷になりかけ」という感じが出てきた。
ヨーシ!とばかりに最後に少し急な坂を上って山頂に到着し、いつもどおり登頂記念に三角点を踏んだのが12:00。
山頂ではあるのだが、残念ながら樹林に囲まれているために展望は全くといっていいほどない。
(紹介写真がいつも観音平なのはそのため)
肝心の霧氷はというと、まあ霧氷と認めてあげてもいいかか?程度には氷雪がついていた。
さすがに今年は「エビの尻尾」と呼ばれるレベルにまでは育たなかったみたいだ。
 
展望もなければ広場でもないので、山頂での昼食は諦めて下山。
法力峠方面への周回ルートでも良かったのだが、帰りの霧氷バスの時間が少し気になったので(温泉に寄ろうと思っていたので)、元の道をピストン。
観音平は風が強く、吹きっさらしでもあったので、もう少し下ったところにある休憩所(東屋)でカレーヌードルを食す。
冬山でカップヌードルを食べるたびに「あさま山荘事件の機動隊はさぞかしカップヌードルに感激しただろうなあ!」といつも思う。
登山口から洞川温泉(どろかわおんせん)に到着したのが14:30。
少し雪が強くなったこともあり、露天風呂では雪見風呂。
下山後、とくに雪山から降りた後の温泉は格別。
 
霧氷見物というには少し物足りなくはあったが、また、これが今シーズン最初で最後の雪山かと思うと寂しいところだが、今年の近畿地方の状況ならこんなものだろう。
春のドカ雪とかくればいいのだけれども。

登山口の吊橋

登山口の吊橋

観音平展望台

観音平より観音峰山頂方面を望む

霧氷のつきかけている樹林の中、最後の登坂

霧氷のつきかけている樹林の中、最後の登坂。

山頂にて霧氷観察。

山頂にて霧氷観察。

まあ霧氷だといってもいいレベル。

まあ霧氷だといってもいいレベル。