「良かれと思って」が仇となることもある 2
前回、通販商品につけた「オマケ」について、インボイスにその内容(品目)を記載していないことで起こるトラブルについてお話しました。
それ以外にも、オマケをつけることで起こりうるトラブルはあります。
それは、オマケが輸入国の規制にひっかかってしまったというものです。
当たり前のことですが、輸出国、輸入国の規制は商品本体のみならず、オマケにも適用されます。
しかし、オマケはなんの気なしに付けてしまうので、規制対象である可能性を失念してしまいがちのようです。
よく聞く事例が「押し花を使った栞」で、ハンドクラフト品のオマケにつけたものが輸入時にひっかかったというものです。
植物関係のものは、基本的にはどの国でも植物防疫の規制がかかる、具体的には検査を受けたり、検疫証明書の提出が必要と考えていいでしょう。
「水分が抜けたものならいいのでは?」と思っておられる方もおられますが、そういうものでもありません。
きちんと産業的に保存加工をしたプリザーブドフラワー(こちらはオマケではなく商品本体であることが多いでしょうが)でさえ、国によっては植物検疫が必要となることもあります。
一般人が作った押し花の栞だと、まず検疫対象であると認識した方がよいでしょう。
ネットには「封筒に入れて送ったら無事に着いた」という書き込みも散見されますが、あくまでも「たまたま」であり、「輸入国当局の見落とし」であると思ってください。
植物関係の輸入検疫が厳しいのは、昆虫やクモなどやその卵、または、細菌が付着していて、それが自国に持ち込まれることによって、被害が生じる懸念があるためです。
日本でもセアカゴケグモやヒアリが、輸入貨物やコンテナに付着して侵入したのが大きな問題になったのを覚えておられると思います。
なお、検疫でひっかかったり、検疫証明ができない植物関係のものが同梱されていた場合、オマケのみならず、本体商品まで輸入できなくなる場合すらあります。
オマケから本体に移っている可能性もあるためです。
この点、オマケだけ廃棄すればよいインボイス不記載の場合よりも厳しいと言っていいでしょう。
植物防疫所のウェブサイトに「輸入植物検疫の対象とならない植物について」というページがありますが、”検疫対象外のもの”がいかに少ないかがわかります。
https://www.maff.go.jp/pps/j/introduction/import/ifuyou/index.html
これは日本への輸入の場合のものですが、少なくとも同レベルの規制がどの国にもあると考えるといいでしょう。
同じく植物防疫所のウェブサイトの輸出入条件詳細情報に「各国の検疫条件」として国別の規制情報の概要がまとめられています。
輸出の際にはこちらを確認して下さい。
https://www.maff.go.jp/pps/j/search/detail.html#kakkoku
もちろん、規制は植物関係のものだけではなく、商品の分野によって様々な規制があります。
越境ECで日本から輸出するというのであれば、輸入国の規制を調べる必要があるのはあるのですが、個人向け通販で送るようなものについて「とりあえず」調べたいということもあるでしょう。
そういった場合には、日本郵便のサイトに「国際郵便として送れないもの」として各国の情報が掲載されています。
https://www.post.japanpost.jp/int/use/restriction/index.html
(「あて先の国によって送れないもの」のタブから、「国別の禁制品を調べる」のボタン、横の「五十音順で調べる」から国名で見て下さい。)
まずはこちらを確認してみて下さい。