「公告」をしなければならない場合
前回の記事で、通関士試験の合格発表は「公告」という形で行われるという話をしました。
※通関業法施行規則 第9条
税関長は、通関士試験に合格した者に、当該試験に合格したことを証する証書を交付するとともに、その氏名を官報で公告しなければならない。
公告は国や自治体のような行政機関が行うものというイメージがありますが、株式会社でも行う(決算公告など)もので、いずれの者が行う場合であっても、法令で定められた重要事項を不特定多数に広く公開・周知する、法的効果を伴う「義務的行為」です。
そのため、「公告しなければならない」と示されているのが一般的です。
当然、通関士試験の範囲となる法令でも「公告」という言葉があちこちで出てきます。
試験対策として「どういう場合に公告をしなければならないのか」は知っておいた方がいいでしょう。
簡単に言えば「不特定多数に広く公開・周知する」必要がある、つまり、「本人以外にも影響する」可能性が高いことについては公告がなされます。
例えば、通関業法です。
通関業者となるには「通関業の許可」を受ける必要がある(通関業法第3条)わけですが、その業務は他者から依頼を受けて行うものです。
よって「この会社には通関業の許可が下りたので、業務を請けることができますよ。」と広く知らせる必要があるわけです。
もちろんその逆に、通関業の許可の消滅(通関業法第10条)、取消し(通関業法第34条)の場合であっても「この会社はもう業務を請けることができません。」と知らせる必要があるので、公告は必要になります。
通関士試験の合格者に公告が必要になるのは、通関士は基本的には通関業者に雇われる立場なので、業者に広く「この人は通関士として仕事ができますよ。」と知らせる必要があるからと言えるでしょう。
(その意味では、受験番号だけしか公告しないというのはどうなのかとも思いますが。)
この考え方で関税法で見てみると、同法で公告が必要な場合はどういうことなのかわかると思います。
保税地域の指定や許可、特定保税運送者の承認、認定通関業者の認定、それぞれの取消しや失効といったものが、公告が必要とされるものです。
いずれも許可等を受けた本人が他者から仕事を請ける立場であるということがわかると思います。
後者2つはAEO制度によるものですが、同じAEO制度によるものでも、特定輸出者や特例輸入者の承認等には公告を要するとされていません。
これは承認等を受けた本人以外には影響がないためですね。
わかりにくいのが、保税地域に置かれた貨物を「収容」する場合で、貨物の所有者がいるのですから、広く一般に知らせる必要はないように思えます。
しかし、なぜ貨物が収容されるような状況になったのかを考えるといいでしょう。
例えば、本来の貨物の所有者が倒産などした場合が挙げられます。
倒産したので、貨物を引き取ることができない(搬出などの手配ができない)、しかし、債権者は貨物がそこにあることを知らない、税関も債権者がだれかわからないということはありえます。
そのため、広く一般に知らせる必要があるわけです。
一方、領置物件等(領置物件、差押物件又は記録命令付差押物件)が留置される際には公告は要しません。
基本的に領地物件等というのは、犯則事件の捜査に係る物品ですから、所有者は犯則嫌疑者若しくは参考人と限定されるためです。
しかし、これを返還(還付等)する際に、その返還を受けるべき者の住所若しくは居所がわからない場合には、返還される旨が公告されます。
返還対象者が不明なため、広く一般に知らせる必要があるためですね。
このように、法令で使用される言葉にはちゃんと意味があり、その意味から考えた方がわかりやすくなることがしばしばあります。
試験日まで時間があるタイミングでは、字面だけで「覚える」のではなく、「理解する」ことに努めることをお勧めします。

