外為法:「輸出の許可が不要になる場合」の改正 1

外国為替及び外国貿易法(外為法)では、経済産業大臣の輸出の許可が必要となる貨物が定められています。
輸出貿易管理令別表第1に掲げられている、武器・兵器とその開発や製造等に用いることができる貨物で、別表第1のうち1項~15項がリスト規制、16項がキャッチオール規制と呼ばれます。
 
その一方で、リスト規制品については特定の場合には許可取得が不要になる「特例」が輸出貿易管理令第4条に定められています。
「仮陸揚貨物」や「自己の用に供するための船用品・機用品」、「少額品目」などが該当しますが、昨年11月に「スポーツ競技大会」に関する物品について法令改正がありました。
スポーツ競技大会に関する物品とは、つまりはライフル競技やピストル競技で用いられるものです。
先般開催されていた冬季五輪でも、バイアスロン競技でライフル射撃があったのご覧になった方も多いでしょうし、夏季五輪では射撃競技がいくつもあります。
 
この許可取得が不要になる場合の1つに「無償特例」と呼ばれるものがあります。
無償特例(輸出貿易管理令第4条 第2号ホ及びへ)には「無償で輸出すべきものとして無償で輸入した貨物」と「無償で輸入すべきものとして無償で輸出する貨物」の二系統あります。
言葉がわかりにくいのですが、前者は「先に無償で輸入されたものを、後で無償で返送する場合」、後者は「先に無償で輸出されたものが、後で無償で返送されてくる場合」と言う意味です。
具体的な内容は「無償告示 」で示されており、この中で上述のスポーツ競技大会に関する物品に関する場合が挙げられています。
ただし従来は前者のみ、つまり「国内で開催される競技大会に参加するために持ち込まれたものを再輸出する」際のみ許可取得は不要でした。
これが11月改正で後者、つまり「外国において開催される競技大会に参加するために輸出し、終了後に再輸入する」際の輸出時にも許可取得が不要になりました。
注意すべきなのは、対象が「国際的な規模で開催されるスポーツ競技大会」であることで、オリンピックや国際大会のような大きなもののみに限定されていることです。
なお、北朝鮮を仕向地とする場合は除かれます(これは前者も同じ)ので、注意を要します。
 
また、無償特例とは別の新ルールとして、輸出の許可が必要な「銃砲弾」の定義に追加がありました。
これは輸出貿易管理令に係る細かい用語定義などを示している「運用通達」によるものです。
ここにおいて「銃砲弾」から「本邦において国際的な規模で開催されたスポーツ競技大会で自己の用に供するために本邦において入手したものを除く」という内容が追加されました。
競技に砲弾というのは想像できないので銃弾のことでしょうが、外国人選手が日本で入手した銃弾を持ち出す際には許可取得は不要ということですね。
気を付けなければいけないのは、規制対象である「銃砲弾そのもの」は「スポーツ用又は狩猟用のものを含む」ことになっていますので、競技用だからといってなんでも許可不要ではないということです。

このスポーツ競技に関する法改正については、試験問題を作るとしたらひっかけ問題を作りやすいのではないかと思います。
通関士試験で出題するにはちょっと細かすぎる気がしますが、許可取得が不要になる特例はちょくちょく出題される内容ですから、多少は警戒しておいた方がいいでしょう。
STC試験ではスポーツ用の銃の輸出についてはよく出題されるので、元の条文も確認しつつ、細かく理解する必要があるでしょう。