外為法:「輸出の許可が不要になる場合」の改正 2
昨年11月の外国為替及び外国貿易法(外為法)に係る改正では、経済産業大臣からの輸出許可取得が不要になる「特例」でもうひとつ重要な改正がありました。
1つは「無償特例」に係るもので、前回紹介したものと同じく「無償で輸入すべきものとして無償で輸出する貨物」、つまり、先に無償で輸出し、後で無償でそのまま返送されるものですが、対象に「輸出貿易管理令 別表第1の1項(武器・兵器類)に係る貨物の、政府機関が行う一時的な持ち出し」が新たに加わりました。
無償特例では適用できる状況を限定していますが、これについても政府機関が行うならなんでもいいわけではなく、以下の状況に限定されています。
- 内閣府又は外務省が化学兵器禁止条約に基づき行う遺棄化学兵器の廃棄を目的とした一時的な持ち出し(化学剤検知器等)
- 警察庁又は海上保安庁による警護を目的とした一時的な持ち出し(防弾チョッキ等)
- 防衛省(その委託を受けた者を含む。)が自衛隊の装備の附属品又は部分品について行う修理を目的とした輸入元への一時的な持ち出し(機械部品等)
ここで「政府機関が輸出するのに、同じ政府機関である経済産業大臣の許可が必要になったり、不要になったりするの?」と思うかもしれませんが、この点は通関士試験でもSTC試験でも頻出ポイントですので要注意です。
輸出貿易管理令 第13条で「経済産業大臣が貨物の輸出を行う場合は、この政令の規定(=輸出の許可や承認などを要するという規定)は、適用しない。」とあります。
「経済産業大臣が」と限定されていますので、他の政府機関は輸出の許可や承認が必要であるというわけです。
なお輸入については、輸入貿易管理令 第19条で「政府機関が経済産業大臣の定める貨物の輸入を行う場合には、この政令の規定は、適用しない。ただし、経済産業大臣以外の政府機関は、当該輸入について、あらかじめ、経済産業大臣に協議しなければならない。」とあります。
この両者の違いが狙われやすいわけですね。
もう1つは運用通達に係るものです。
内容としては、1項に係る「火薬類」について、許可が不要になる場合についてなのですが、こちらは規定で不要とするのではなく、規制対象となる火薬類の定義の調整です。
これまでも「自動車用エアバッグガス発生器」や「がん具用煙火(つまりは花火等)」等が挙げられていたのですが、これに、「医薬品又は治験薬であって、個人使用のための個別包装されたもの」が加わりました。
「個人使用」とは海外旅行を想定しており、例えば「強心剤のニトロセルロース(硝酸エステル)」が例として挙げられています。
このレベルの細かい規定になると通関士試験ではほとんど出題されませんが、STC試験では出題される可能性があります。
後者はともかくとして、前者については試験対策として要注意と言ってよいでしょう。
前回のスポーツ競技用の銃もそうですが、輸出貿易管理令 別表第1の1項の貨物であるにも関わらず、許可の取得が不要な場合です。
市販の通関士テキストには2026年版でも「1項の貨物は、いかなる場合であっても経済産業大臣の輸出の許可が必要」と書かれているものもあります。
お持ちのものを確認しておいた方がよいでしょう。

