貨物と容器の関係

貿易では運送途上の事故は大きなリスク要因です。
一般的には運送リスクと呼ばれますが、それを回避するために貨物の「梱包」をしっかりするのは常識です。
梱包のみならず、適切な「容器」を使うことも重要で、一定の貨物には専用の容器を使うことは珍しくありません。

ときどき、コンテナは容器か輸送器具かと問われることがあります。
通関手続上では、「輸送器具」の扱いですが(課税価格の算出の都合です)、まあ、商品を裸のまま入れることもあるわけですし、風雨を防いでくれますので、実務的には「容器でもある」と言ってもいいでしょう。
実際、タンクコンテナだとコンテナの内側はもう商品そのものですし、ハンガーコンテナはコンテナ内にバーがあってそこに服を直接吊るします。

いずれにせよ、事故リスクを避けるためには、適切な容器やコンテナを選ぶことはとても重要なわけです。
要冷凍・冷蔵の商品にはリーファー・コンテナを使うのもその一環ですね。
これは逆に言えば、容器やコンテナには、それにふさわしい貨物があることでもあります。

ありえない組み合わせをするのは、なにか怪しい事情があることがほとんどです。
この実例が、平成25年に摘発された、メキシコからの麻薬の密輸事件です。
この事件では、68トンもの鉄鉱石の中に、鉄鉱石に見せかけた石をくりぬいて約200kg(末端価格約135億円)もの麻薬が隠されていました。
運送手段が海上コンテナだったのですが、通常、鉄鉱石は在来船(バラ積み船)で運ぶもので、コンテナで運ぶことはあまり考えられません。
量にしてもかなーり中途半端で、サンプルにしては多いし、ビジネスとしては少なすぎます。
「鉄鉱石68トンをコンテナ運送」、こんな妙なとりあわせを税関が怪しまないはずがありません。
X線検査が行われて御用!となったわけです。

このことから考えると、貨物と容器・コンテナの組み合わせが変だと、税関に怪しまれて、通関手続きが遅れる可能性があることを意味します。
軽視しがちな容器・コンテナですが、そういう観点があることも知っておいたほうがいいでしょうね。(I)

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