コロナ災禍と航空運送

今年2月頃から顕著になってきたコロナウイルスの世界的な感染拡大により、各国が人的往来の制限を強化しているのはご存じのとおりです。
とくに、自国に感染者が流入してしまわないように入国規制、場合によっては国内移動にすら制限をかけている国が多くあります。
陸続きの近距離でなければ、現代の人の移動は飛行機によるものが主ですから、航空便の客席がガラガラになるのは至極当然のことで、航空会社は減便や欠航を余儀なくされています。

下の画像は、リアルタイムに航空機の運航状況を見ることができるアプリ「Flight Rader24」のものです。
(WEB版はこちら
イタリア、フランス、ドイツは欧州時間で3月31日16時頃のものですが、平常時であれば混雑する夕方であるにも関わらず、イタリアやフランス上空に航空機がほとんどいないということがわかります。
ドイツはそれなりに飛んでいるようには見えますが、平常時に比べると段違いに少ないでしょう。
表示されている飛行機も、このアプリで詳細を見ると、当該国に離着陸するものとは限らず、上空通過のものも含まれるので、それを差し引くともっと飛んでいないということになります。
※フランスの左上を見ると英国にはけっこう飛んでいるように見えますが、たまたまヒースロー空港近辺がこうなだけで、実際は英国上空もガラガラです。

イタリア上空

4月1日14時頃の日本上空の様子はこちらになりますが、欧州各国に比べたら飛んでいる方でしょう。
日本上空

航空機といえば旅客機のイメージが強く、また、実際に飛んでいるのも旅客機の方が多いのですが、旅客機の運航が減ると実は貨物運送にも大きな影響があります。
旅客機の胴体下部(Lower Deck)は貨物室になっていますが、旅客が預けた荷物は2割程度で、残りのスペースは一般貨物だと言われます。
そのため、旅客機の運航が減ると、航空貨物の運送スペースが減ってしまうのです。
昨今の航空便の減少は、航空貨物運送業界にとって危機的だと言っていいでしょう。
もっとも、航空便が減少することで、日本の商品物流全体が危機的になるということではありません。
日本の貿易の99.6%は海上運送によるもので、海上貨物輸送には制限がほとんどかかっていないからです。

ただし、緊急輸送が必要なものや、腐りやすいものといった、航空運送が必要とされるものには困った状況かもしれません。
その中でとくに影響が大きいのが国際郵便(小包)です。
日本郵便は4月2日から一部の国際郵便物のお引受けを一時停止するとしています(当分の間)。
対象は「EMS及び航空扱いの引受けを一時停止する国・地域」が126か国・地域、「全ての郵便物の引受けを一時停止する国・地域」が27か国・地域など、相当広範囲です。
日本郵便はその理由として、国際郵便物の受入停止等の措置が取られている国・地域があることに並んで、航空機が大幅に減便・運休となって輸送ルートが途絶えていることも挙げています。
国際ネット通販(越境EC)では、国際郵便が使われていることが多く、事業者としては頭を悩ませるところです。

早くこのコロナ惨禍が収まることを願ってやみません。(I)

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