旅行モーダルシフトのススメ

私は出張や旅行でしばしば船便(フェリー)を使う。
しかし、多くの人は長距離の船便を使った経験がないのではないかと思う。
これらを使う方が飛行機や新幹線を使うよりも船のほうが便利だということがけっこうあるので多用している。
「スピードが遅い船の方が便利なことってあるの?」という人もいるだろうが、これがなかなか侮れない。
 
私がよく使うのは、大阪港や神戸港から四国や九州に船便。
例えば下のような航路だ。
 ・大阪ー東予(愛媛)、別府(大分)、志布志(鹿児島)、新門司(福岡)
 ・神戸ー大分、宮崎
 
これらはいずれも夕方/夜発、早朝着。
なので、到着日は朝イチから活動できるのは大きい。
船の中にはお風呂もあるし、当然寝ることもできるので、体力的にも問題ない。
金曜夜に大阪港から乗り、土曜日朝に別府着、1日別府温泉で遊んで、夕方に別府発、日曜朝に大阪戻りという0泊3日の弾丸ツアーをしたこともある。
(山好きの人はこのスケジュールで由布岳に登るらしい。)
スケジュールの都合でどうしてもという際には、早朝着のその足で授業・講義をしたこともある。
もっとも、遅延などすると怖いのでわざわざやそういうスケジュールにはしないが。
 
そしてなんといっても運賃が安いというのがある。
確かに最近だとLCCがあるので飛行機移動でも安くはなっているが、実際には超格安な席はよっぽど事前に予約しておかないと無くなっているし、便があってもあまり都合の良い時間ではなく、朝から活動をしようとするなら現地で前泊が必要、結局高く付くということも多い。
とくに今は、「船中泊=宿泊を伴う旅行」ということなので、GOTOトラベルの対象となって運賃が35%引となっている航路もあり、それならさらに運賃額に応じて船内や到着地で使える地域クーポンがもらえる。
例えば、大阪ー志布志だと今は往復でも6,500円(徒歩・大部屋)で、これに地域クーポンが付く。
大部屋での雑魚寝はちょっと・・・という人には、各人用のベッドがあるプランもあり、これでも往復12,700円。
もう「本当にこんなに恵まれてていいの?」「今行かないで、いつ行くの?」というレベルだ。
※ちなみに大部屋でも、今はコロナ対策で乗客が寝るスペースは一人分づつ空けられているのでかなりゆったりしている。
 
また別の観点で考えると、船舶での移動というのは、他の交通手段による移動よりもCO2の排出量が格段に少ない。
地球環境のためにも船便による出張・旅行は好ましいというわけだ。
 
ただ、残念ながら今の日本は貨物も人も急げ急げという感じなので、環境に優しいフェリー便は増えるどころか減っている傾向にある。
まあスピード志向以前に、船旅がそもそも思いつかない人がほとんどというのがあるのだろうが。
もっと多くの人や貨物がフェリーで移動するようになれば、航路も増えるだろうし運賃もさらに安くなる可能性がある。
航路が増えれば船が必要になるので、日本のお家芸、造船業界も活性化するだろう。
船便の活性化はいいことづくめだと思うのだが。
 
もしかしたら、船酔いを心配される方もいるかもしれないが、少なくとも瀬戸内海航路(上記で挙げたもののうち、宮崎、志布志便以外)は、ほとんど揺れない。
宮崎、志布志便は太平洋に出るので多少は揺れるが、船が大きいのでよほどの悪天候でもない限り船酔いするほどではないので大丈夫だ。
 
ぜひとも一度、とくに関西圏の人は船旅というものを味わってほしい。
とくに到着直前、海から見える朝日は絶景だから。
 
※ちなみにこの投稿は、呉から松山に向かうフェリーの中で書いている。