ロンドン・ナショナル・ギャラリー展を観覧
今日は国際美術館(中之島)で開催中の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を観覧してきた。
久しぶりの大型美術展だ。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは13世紀後半から20世紀にかけての西洋絵画の名品を約2,300点収蔵しており、世界の美術館トップ10に数えられるが、200年の歴史の中で所蔵作品展はこの日本でのもの(東京展が先行)が初だとのこと。
今回はそのうちから選りすぐった61点が来日ということで、随分前から楽しみにしていた。
コロナ対策で入場は時間指定制。
それはいいのだけれど、入口前の掲示「観覧は1時間を目安にお願いします」に、そんな無理だろ!音声ガイドだけで30分はあるんだぞ!と心の中でツッコミを入れる。
1点1分なんてじっくりと鑑賞するのに足りるわけがない。
とくに印象派の作品だと、近くに寄って荒々しいタッチを見る、遠くから見て色彩の調和を見るということを何度もするものだし。
そもそも画家はもちろん、日本に貸し出ししてくれたギャラリーに対しても失礼だろうに。
出展されている作品は、ボッティチェリ、ティツィアーノ、フェルメール、レンブラント、ドガ、モネと有名どころのものがたくさん。
私が好きなベラスケスやムリーリョの作品もあった。
今回、とくに気に入ったのは、ゲインズバラの「シドンズ夫人」(1785年)。
マクベス夫人が当たり役となり名を馳せた悲劇女優サラ・シドンズを描いたものだが、気品にあふれ、確固とした自信を持った女性の姿がひじょうに印象に残った。
今回の目玉作品の1つはフェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女性」。
フェルメールは日本人に人気があるので、だいたいにおいてその絵の前には人だかりができるもので、この作品も初来日だということなので覚悟していたのだが、今回はそうではなかった。
この絵は窓のカーテンが閉じられている状況のものなので、フェルメールらしい光の表現が薄く、あまり意識されなかったのだろうか?
そしてもう1つの目玉がゴッホの「ひまわり」で、こちらも日本初公開。
展示会場の一番最後の部屋にこの作品のみが展示という厚遇。
ゴッホがアルルで描いたひまわりの最初の4点のうちの最後、ゴッホのサイン(フィンセントの文字)が入っている2点のうちの1つ。
印象派の絵の理解が得意ではない私でもわかる、圧倒的な質感を持つさまざまな黄色が目に残る。
参考としてゴッホの「ひまわり」7点全ての写真が並べられていたが、少なくとも最初の4枚のうちではこれが最高傑作だと思う。
※ちなみに、ゴッホはこのあとにも3点の「ひまわり」を描いているが、5点目はいの東京のSOMPO美術館にあるもので、落札価格は当時の価格で53億円。
質・量ともにボリュームがあり、十分に楽しめた当展だが、これだけ見たことで逆に本場、トラファルガー広場の前にあるロンドン・ナショナル・ギャラリーそのものに行きたくなってきた。
早くコロナ禍が収まり、海外旅行がまた自由になる日常が戻ってきてほしいものだ。
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パンフレットはいつも目玉作品が表紙。 両表面なので、こちら「ひまわり」、裏側は「ヴァージナルの前に座る若い女性」。