この組み合わせ、大丈夫なん?

この前教えてもらったのだけれども、国土交通省が「船舶の安全運航の啓発・周知」をPRするために「仕事猫」とコラボしたそうだ。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji06_hh_000308.html

しかし安全啓発で仕事猫ってこの組み合わせ大丈夫なん? 
仕事猫は、元はネットで「現場猫」と呼ばれていたものがリファインされたもの(その前身に「電話猫」というのものある)。
基本的な絵柄として、工事現場の安全ヘルメットをかぶった猫が「ヨシ!」と指差呼称している。
しかし、その絵が使われるのは、「実際は「ヨシ!」と言ってはいけない状況なのに、安全確認を疎かにして「ヨシ!」と言ってしまう状況」、つまり、「安全性の認知バイアスがかかってしまい、確認行動が形式的になっている状況」を皮肉るというものが多い。
代表的な使用例には下のとおりのものがある。

現場猫の使用例

これを見るとわかるとおり、このキャラの特性は啓発内容と真逆なのだが。
まあ、仕事猫が安全啓発のキャンペーンで使われるのはこれが初めてではなく、中央労働災害防止協会(中労協)も使ったことがあるので、”反面教師”という扱いなのかもしれないが。

しかし、省庁や団体が行うコラボPRのなかには首をかしげざるをえない組み合わせがけっこうある。
たとえば、昨年、政府広報が成人年齢がの18歳へのに引き下げをPRするために行った「東京リベンジャーズ」とのコラボ。
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/seinen_18/
大人になる責任とか、18歳ではまだ酒・たばこ、キャンブルはダメとか登場キャラが訴えてるが、「おいおい、そもそもお前ら反社やん!」といツッコミが当時はけっこうあったもんだ。

また、最近見たのが、全国銀行協会が新NISAなどでの資産形成をPRするために行っている「進撃の巨人」とのコラボ。
https://www.money-shingeki.jp/
資産形成で「不確実な未来を駆逐する」とか言ってるが、「おいおい、進撃の巨人って、人類全部が死にかねないNo Futureな世界観やん!」とツッコまずにはいられない。

外務省もだいぶ前から「海外安全対策で「ゴルゴ13」とコラボしている。
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html
ゴルゴは正義の味方でもなんでもない、自分が納得さえすれば政府要人すら殺すスナイパーなのだが、外務省は「そういうの」容認なのか?と疑問に思わざるを得ない。

もっとも、厚生労働省が新型コロナ感染症予防の啓発に「はたらく細胞」としたコラボや、農林水産省と東京農大が食育や牛乳消費を訴えるために「百姓貴族」としたコラボのように、PR内容と作品内容がぴったりとあったものもある。
・厚生労働省×はたらく細胞
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18359.html
・農林水産省×東京農大×百姓貴族
https://www.maff.go.jp/j/kids/kodomo_kasumi/2023/content/shokuiku.html

コラボは見ていて楽しいが、表面的な図柄だけ見るとか、若者ウケを狙って安易に人気のある作品をただ使うのではなく、作品が持つ本来の意味を考えてやって欲しいと思う。
そうでなければ、当の若者から失笑を買うだけでPR効果がでませんよ、と。