武器や兵器の「輸入」はできるのか?

昨日放送された朝日放送のバラエティー番組「雨上がりのやまとナゼ?しこ」(西日本でのローカル番組)で紹介されていた岡山の男性。
米軍が大好きで、本物の古い戦闘機を輸入して所有するほどだそう。
ところが、日本の税関でストップをかけられて、武器はもちろん、エンジンも認められず、結局、コックピット部分のみした輸入できなかった(だから、放映された「戦闘機」もスカスカの外殻だけ)という話でした。

さて、ここでポイントですが、この人は戦闘機を輸入できなかった、つまり、税関が輸入のストップをかけた理由はなんでしょう?
関税法第69条の11「輸入してはならない貨物」では、拳銃、小銃、機関銃及び砲並びにこれらの銃砲弾並びに拳銃部品、爆発物、火薬類といったものは挙げられていますが、戦闘機や戦車、軍艦といった大型兵器は挙げられていません。
外為法、輸出貿易管理令では別表第1に掲げられている武器・兵器の輸出には経済産業省の許可が必要だが、今回は輸入だから、やはりこれも関係しません。
では、どんな根拠があるのでしょう?

実はこれ、あまり知られていませんが、輸入貿易管理令にその根拠があるのです。
普通の貿易実務のテキスト本には書かれていませんが(普通の人はこういう大型兵器類の輸入なんて考えないですからね)、輸入公表2号の2承認品目(経済産業省のウェブサイト)に、こういった物品が掲げられています。
つまり、経済産業省から承認をもらえれば、戦車だろうが戦闘機だろうが空母だろうが、輸入することができるということ・・・・ではありません。
輸入注意事項19第8号(同省ウェブサイト)で、軍用航空機、戦車や装甲車、軍艦などについては、そもそも輸入承認申請できる資格者が「国から輸入の委託を受けた者又はこれに準ずる者」に制限されているのです。
なので、一般の方は輸入承認申請すらできないというわけですね。

実は私も、過去に「軍艦を輸入したいのだが、どこに許認可をもらえばいいのか?」という貿易相談を受けたことがあります。
もちろん、その軍艦を兵器として使うのではなく、兵器類は全部外して、アトラクション設備にしようという計画だったそうです。
しかしながら、上述の理由で、まず輸入は不可能ということで諦めざるをえませんでした。

軍艦とか戦闘機が好きで持てるなら持ちたい!という人はけっこういるでしょうが、プラモデルなんかで我慢するしかないですね。(I)