貿易実務検定 C級向けテキストはどれがいい?

貿易実務検定を受験しようとされる方より、「試験対策のテキストは何がよいのか?」という質問がしばしば寄せられます。

結論から言えば、C級レベルであれば、どのテキストでも構わないと思います。
ただし、貿易用語は日本語、英語とも、同じ意味であってもテキストによって違うことが時々あります。
これは、下の2つの理由によるものです、

  • 法令で使われている用語と、現場で使われている用語が必ずしも一致していないことがある。
  • 会社によって違う言葉を使うことが珍しくなく、どこで貿易を経験したかによって、身に付けた用語が違う。

顕著な例として挙げられるのが「フォワーダー(Forwarder)」という言葉(業種)です。
この意味として、日本の法令では「利用運送事業者」、貿易の世界であれば「国際運送における利用運送事業者」ということになりますが、現場でこの言葉を使うことはあまりなく、やはり「フォワーダー」と呼ばれます。
しかしながら、現場で「フォワーダー」という言葉がどういった意味で使われているかというと、けっこうバラバラだったりします。
これは日本では、貿易運送に係る業者が様々な業種を兼業しているためです。
そのため、会話の中で「フォワーダー」という単語が出てきた場合、ある人は「利用運送事業者」を、ある人は「海貨業者」を、またある人は「通関業者」をイメージしているということがあり、文脈の中でなにを意味しているのか判断しなければならないことがあります。

貿易実務検定では、混乱を避けるためかフォワーダーという単語を極力使わないようにしているようで、検定試験のオフィシャルテキストの索引には「フォワーダー」、「Forwarder」のいずれも挙がっていません。

こう考えると、試験対策という意味では検定試験に準拠というか、共通性が高いテキストを使うのが良いということがおわかりいただけると思います。
その点では、オフィシャルテキスト、つまり、「貿易実務ハンドブック ベーシック版」(能率協会マネジメントセンター)が一番良いということになるのですが、欠点もあります。
1つは価格で、他書に比べて割高ということですが、これはページ数が多いのでしょうがないと思います。
もう1つは、貿易未経験の初学者にいきなりこのテキストでは少し難しいということです。

まあC級であれば、過去問を数回分入手し、出題されているところ(用語やキーポイント)を集中的に公式テキストと照らし合わせて覚えてしまえば、貿易実務をあまり理解していなくても合格に持っていくことも可能とも言えます。
しかし、その後にB級以上を目指すのであれば、基礎ができていなければいけませんし、そもそも、仕事の現場のことを考えれば、いくら資格を取れていても、実務が理解できていないのでは意味がありません。
ところが、オフィシャルテキストではいきなり難しい単語・文書の羅列があったり、業務の流れからみると記載内容の順番が前後していたりしますので、敷居が高いと思います。
壁を感じられた方の多くは、検定協会の片山先生が出しておられるもう一段階下のレベルのテキストを買って、基本的、かつ、流れに沿って理解するということをされているようです。
しかし、そうなるとまたお金がかかってしまうという問題があるのですが・・・

私としては、もちろん拙著「サクッとわかる 貿易実務」(ネットスクール出版)をオススメしたいところです。
用語は基本的には貿易実務検定で使われているものに沿って記述していますし、貿易の流れに沿って解説、序盤から専門用語のシャワーを浴びせることがないようにしているつもりですので。

もちろん、実務書というのは個々人によって記載方法の相性がありますので、自分に合ったテキストを探すのがいいと思います。
さらに、試験が終わった後も仕事上でマニュアル的に使える、それこそ仕事机の書架に置いて、なにか調べものがあれば使えるものがいいと思います。
今時は、ネット通販で書籍を買うことが簡単にできますが、こういったテキストに限って言えば、書店でパラパラめくって自分に合うかどうかを確認したほうがいいと思いますよ。(I)