文楽「仮名手本忠臣蔵」大詰!

この前の月曜日、午後休をとって文楽「仮名手本忠臣蔵」を観に。
春から三分割上演されていたものの第三弾、八段目~十一段目までだ。
 
国立文楽劇場は平日昼にも関わらず満席。
実際、私も春の第一弾は見たものの、夏の第二弾は席がとれなかった。
今回の第三弾も、チケット発売の開始初日に申し込んだが、夕方であったために良い席の空いている日がほとんどなかったぐらいだ。
日本人はほんとうに忠臣蔵好きだねぇと感心する。
しかし、午後休をとってでも平日を選んだので、太夫さんと三味線弾きがいる「床」のごく近く、通称「唾かぶり」に席をとることができた。
(実際にツバが飛んでくることはない)
  
今回の構成は八段目・道行旅路の嫁入、九段目・山科の雪転し十段目・天河屋の段、十一段目・花水橋引揚より光明寺焼香の段となる。
 
このうち、十段目は近年はほとんど上演されることがない段で、しかも、今回は102年ぶりに原作通りの台本で上演されるという貴重な回。
とはいうものの「天河屋義平は男でござる!」という口上で有名、また、この天河屋義平のモデルとなった天野屋利兵衛の屋敷は私の事務所の近くにあったということ(石碑がある)で期待していた。
しかしこの段、とにかく長く公演時間4時間のうち、ほぼ半分がこの段で占める。
本筋とは違う脇筋の話、おまけに義平とその(離縁した)嫁との会話がクドクドと長い!
時間的な制約もあり、いつしか上演されなくなったのもわかる。
そもそも、ヒーローであるはずの大星由良助(大石内蔵助)が、性根を試すためとはい義平を騙すという場面なので評判が芳しくなかったらしい。
 
さて、この後は大詰、高師直(吉良上野介)邸に討入り!となると思いきや、文楽では討入りの場面はない。
先の十段目の跡、いきなり、討入りが成功した後に光明寺(泉岳寺)に凱旋する行進の場面に移る。
これは初演時からそうらしく、誰が何をしたかを箇条書き的に述べるだけだったそうだ。
チャンチャンバラバラするのは「粋」ではないというか、そういう派手なシーンで観客の注目を浴びるのを目的とせず、大星を中心とした人々の人間模様、心情の動きを描くことを目的としたものだからだろう。
その点では、物語が面白いかどうかは演者の力量にかかっていると言える。
 
ちなみに、十一段目ではイケメン太夫として最近知名度が上がっている豊竹咲寿太夫(桃井若狭助役)が出ていた。
「声もいいし、こりゃあ人気がでるわな」と思うことしきり。
 
ほんとうに充実した公演で大満足だった。
文楽を見に行くために言いたくなるが、文楽未経験の人は敷居が高いと敬遠せずに、ぜひとも一度見に行って欲しいと思う。

国立文楽劇場内部

パンフレットと床本

趣味・日常

次の記事

ハプスブルク三昧