冬の入笠山、北横岳 後編
(続き)
2登目は翌日、南八ヶ岳の北横岳。
南峰(標高2,471.6m)、北峰(標高2,480m)の2つの山頂を持つ山で、八ヶ岳火山列の活火山のうちの1つ。
活火山といっても、前回の噴火は700~900年前で、噴煙も上がってなければ硫黄臭もない、山肌には樹々が生えているので、山の形以外は火山っぽくはない。
蓼科高原のリゾート地の一部として、ここの山麓もスキー場となっているので、標高2,240mの坪庭と呼ばれるところまでお手軽にロープウェイで上がることができる。
ロープウェイではスキー・スノボ客と登山客が混じっているが、登山客の中には「今夏は月2回のペースでアルプスに登りたい。」だの「9月には黒部五郎岳に登る予定」だのとかなりヘビーな登山予定を語っている人がいた。
入笠山と同じく、ロープウェイを降りたらスキー・スノボ客はすぐにそこから滑降、登山客はゲイター(スパッツ)やアイゼンを装着して登り道に入っていく。
ちなみにこの坪庭というエリアはそこそこ広く起伏に乏しい溶岩台地。
雪のないシーズンには溶岩がゴツゴツとありながら色とりどりの花が咲き乱れる場所だとのことだが、降雪期の今は、厚い雪に覆われて一面の雪原になっている。
散策路や登山道としてのルートはあるのだが、スノーシューをはいている人は誰の足跡もついていない新雪の上に自分の軌跡を描いていて楽しそうだ。
次に来るときはスノーシューで遊びたいなぁ。
坪庭スタートは9:30。
この時点で山頂には雲がかかっており、景色を楽しむことを期待しての登山としてはちょっと心配。
山頂への登山道は九十九折の道となっていて傾斜はそれほど急でなく、また、よく整備されているので初心者でも問題なく歩くことができる。
山頂付近まではずっと両側に樹々が生えているため眺望は全然ないが、その一方でその樹々が南八ヶ岳ではいつも話題になる強風を遮ってくれるのでむしろありがたい。
北横岳ヒュッテ(冬季休業中)の横を通過し、少し急な坂を上がるとそこは南峰山頂。
北横岳の三角点は(なぜか)低い方の南峰にあり、登頂の証としてまずはそこにタッチ!
時刻は10:30過ぎだったので、約1時間の行程とほぼコースタイム通り。
心配だった山頂の雲もこの時点では消え去っており、風も少々強くはあるがマウンテンパーカーの前を閉じれば十分に暖をとれるほどのもの。
うん、これは山頂に長居としても大丈夫だ。
この北横岳は山頂付近だけが森林限界を超えていて、360度の眺望が望める。
そしてこの日はとんでもない絶景が広がっていた。
すぐ北には、日本百名山の1つにして諏訪富士と呼ばれるほどコニーデ型火山の山容が美しい蓼科山。
西方には昨日は霞がかかって見えにくかった北アルプスが穂高連峰から後立山連峰に至るまで一望。
南方には当然のことながら南八ヶ岳の山々。
3分ほど歩いて北峰に移れば、東方には浅間山や四阿山が見えるだけでなく、谷川連峰もうっすらと。
ここまで簡単に登れながら、ここまで名峰が一望できる場所はそうそうないだろう。
山々だけでなく、雲がほとんどなく晴れ渡った空も素晴らしい。
秋から春にかけて八ヶ岳に広がる、抜けるような青空を「八ヶ岳ブルー」と呼ぶが、この日がまさにその日。
こんなに綺麗な青色というのがあるんだ!
この絶景を記録しようと何枚も写真を撮るが、やはりスマホのデジタルカメラではどうしても平板なものになってしまう。
次回来るときは光学式のカメラを持ってこよう!
十分に絶景を楽しみ、下山。
ちょっと失敗だったのが、一部凍っているところもあったので、今回持ってきたチェーンアイゼンでは滑りがちだったこと。
もう少し凍っていれば危なかったかもしれず、12本爪アイゼンのようなちゃんとした装備の方が楽に登ることができただろう。
再び坪庭に戻ってきたのは12:00。
累積標高は約300m。
いやぁ、これ以上のベストコンディションはそうそう望めないんじゃないかと思われるほど気持ちのいい登山であった。
連登だったが、いずれも累積標高は大したことないので筋肉痛もなく良かった。
雪山は歩いてるだけで感触が楽しいが、実は私、雪山で綺麗に晴れて絶景!と言えたためしがなかった。
今回のことで雪山が一層好きになった。
今シーズンはもう終わりだが「来シーズンはどこに行こう?」ともう今から楽しみにしている。
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登山スタート地点となる坪庭。この時点では曇り。
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いい感じに積もっている登山道。
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北横ヒュッテを通過。
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南峰山頂に到着!
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南峰から西方に見える北アルプス。名峰が一望!
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北峰から東方に見える浅間山などなど。こちらも名峰揃い。
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下山後。坪庭から見上げる八ヶ岳ブルー!