空の交通標識

障害物の無い空を飛ぶ航空機。
航空路も出発空港から到着空港まで、離陸してからテキトウにルートを決めているかというと、もちろんそういうわけではありません。
基本的には「ここを、高度何フィートで通過する予定です」と事前に申請して承認をもらった「フライトプラン」に従って飛ぶことになっています。

ただ、空には道路があるわけではないので、通過地点は座標(緯度、経度)で定められていています。
この座標を「エアウェイポイント」と言い、ある意味、空の航空標識といってもいいでしょう。
エアウェイポイントは原則5文字のアルファベットによるコードで示され(航空保安無線施設等以外)、ほとんどはその座標のある場所の地名を略します。
例えば、彦根がHIKNE、賤ヶ岳がSHIZU、嵐山がARASIなどです。

しかし、この5文字アルファベット、ある程度、自由につけることができるらしく、海上や山中のようにめぼしい地名がない場所には「遊んでるの?」というようなコードが付けられることがあります。

たとえば、琵琶湖の南東、信楽あたりのコードは「TANUK(たぬき)」ですし、ヤマハ楽器のある浜松あたりのコードは「GAKKI(楽器)」、サッカーの強豪が多い静岡県内には「SHOOT(シュート)」というコードがあります。

特定のルートに関連のあるモノのコードを連続で付けることも多く、例えば福岡空港近辺から西南西にかけて、「CHINU(チヌ)」、「ISAKY(イサキ)」、「CAMAS(カマス)」と魚の種類が続いています。
エアウェイポイント01

山口県北部から北九州方面にかけてのルートでは、「STOUT(スタウト)」、「KIRIN(キリン)」、「EBISU(エビス)」と、ビールに関係する言葉でコードが続きます。
エアウェイポイント02

アニメファン(ガンダムファン?)の方が名づけたのか、兵庫県内には「AMURO(アムロ)」から「LALAH(ララァ)」を結ぶルートもあります。
エアウェイポイント04

複数のコードを続けて読むと言葉になるものものあって、和歌山南部から大阪方面へのルートには「HONMA」「KAINA」、つまり、続けると「ほんまかいな」になるところもあります。
エアウェイポイント03

そのほか、ラーメン食材が並ぶ「ラーメン街道」と呼ばれるルート、ハーブの名前が並ぶ「ハーブ街道」などがあり、見ればみるほど新しい発見があって楽しくなってきます。

ご自分でも探してみたいという方は、「SkyVector」というサイトが見やすいので御紹介しましょう。
今回挙げたのは日本近辺のものだけですが、もしかしたら、海外でもこういう面白いコードが見つかるかもしれませんよ。(I)

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