秋遊び その2-フェルメール展(9月11日)

今年注目された美術展といえば、この「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」はその1つだろう。
大阪市立美術館で開催された本展に行ってきた。
 
ヨハネス・フェルメールは日本では「真珠の首飾りの少女」が有名かつ人気。
ただし、今回はこれは来ておらず、というか、フェルメール作品は「窓辺で手紙を読む女」のみ。
レンブラントやメツー、ヤン・ステーンといったビッグ・ネームの作品も出ているのに、このタイトルはどうなのかとも思う。
しかし、タイトルがこうなっているのは、この「窓辺で手紙を読む女」が、所蔵するドレスデン国立古典絵画館での修復完成後、初来日というのがポイントだから。
 
これまで知られていた状態では、背景は「ただの壁」だったのだが、調査の結果、「壁には大きなキューピットの絵が掲げられている」ことがわかり、元の状態に戻したとのこと。
有名絵画に下絵があることはよくあることだが、画家が塗りつぶしたのなら、それは画家の意思として尊重される。
この作品も、フェルメールが塗りつぶしたと思われていたのが、絵具の年代から後の時代(所有者?)が塗りつぶしたということが判明したため、フェルメールが描いた状態に修復したということだ。
 
個人的には、修復後の絵はキューピットが大きくて少々煩い。
元の方がすっきりした感じで、手紙を読んでいる女性が大きく印象付けられるとも正直思う。
しかし、オランダ絵画では描かれている背景、床に置かれている文物から小物一つ一つにまで寓意的な意味があるので、このキューピットには重要な意味があるのだろう。
 
展示では、修復の様子も解説されていてひじょうに面白かった。
コロナ禍がある程度落ち着いてきたおかげで、こういう展示会が戻ってきたのは嬉しいね。
 

会場入り口

パンフレットのは改修前の絵

会場内の大型看板には修復後の絵