弥彦神社と弥彦山
先日、新潟出張の折、帰りの飛行機まで時間があったので、弥彦山に登ってきた。
弥彦山は標高634mという低山だが、英彦山(福岡・大分、標高1,199m)、雪彦山(兵庫、標高915.2m)とあわせて「日本三彦」と称される山で、いずれ登ってみたいと思っていた。
公共交通機関ではJR弥彦線の弥彦駅が一番近いのだが、この路線、平日は便数が極めて少ない。
これだと飛行機の便に間に合わないなと思っていたが、よく調べると、JR越後線・吉田駅から燕市と弥彦村のコミュニティーバスがあることが判明。
往路・復路とも鉄道との接続にちょうど良い時間で、じゃあ行くか!と。
バス停があり登山口となるのは弥彦神社。
弥彦山を神体山として背後に構え、越後国一宮として知られる大きな神社で、平日にもかかわらず、多くの参拝者で賑わっていた。
神社境内に古い石油精製蒸留釜(日本最初のもの)が奉納(?)されているのも、かつては石油を産出した新潟らしい。
この弥彦神社と弥彦山のおかげで、これらがある弥彦村への参拝者・観光客数は年140万人を数えるそうだ。
なるほど、政令指定都市である新潟市、県内人口2位の燕市の隣であるにも関わらず、村のままでいるのは観光収入が潤沢であるせいかもしれない。
山を御神体とする神社によくあるように、弥彦神社の奥社は弥彦山の山頂にある。
弥彦山には登山道があるだけでなく、9合目まで行けるロープウェイと自動車道があり、手軽に上ることができる。
私としては自分の足で登りたかったが、今回は時間がなかったためロープウェイで上がった。
例年であれば、この時期なら眼下には紅葉した樹々が見えるそうなのだが、今年は夏の猛暑とこのところの雨不足のために紅葉する前に赤茶けた枯れ気味の状態になってしまっている。
日本各地どこも似たような状況らしいが、せっかくの紅葉シーズンにもったいない。
ロープウェイの山頂駅から軽いアップダウンの道で15分ほど、標高差にして100mほどを上がると弥彦山山頂に到着。
海際にぴょこんとある山で、かつ、この日は快晴だったので、かたや日本海と佐渡島、かたや越後平野の360度の視界が開けている。
11月中旬にも関わらず、パーカーいらずの暖かさだったが、さすがに越後平野のむこうには冠雪した山々も見えた。
山頂で出会った初老のおじさんによると、近くに見える堂々とした山は守門岳(日本二百名山)、北東の山頂部分が冠雪した連山は飯豊連峰(日本百名山)だとのこと。
聞くと、このおじさん、「ここから見える名のある山は全部登った」らしい。
それどころか日本百名山は全部制覇したとのこと。すごい!
南側にも遠く冠雪した山が見え、アプリ「Peak Finder」によれば白馬岳だとのことだが、さすがに距離を考えると、もっと手前の別の山だろう。
なにせ天気が良すぎて明るすぎ、また、雨が降らないので塵が多いせいか、さして距離はないはずの佐渡島の金北山もクッキリとは見えないのだから。
ぽかぽか暖かいので、景色を堪能しながらぼーっとしていると、登山者の誰かが演奏するオカリナの音色が聞こえてきた。
曲は「鳥になりたい」。
たしかにこの山頂から下界を眺めていると鳥のようにすーっと飛んでいきたい気持ちになるのもわかる。
あまりにも気持ちがよいので予期せぬ長滞在となったが、帰らなくてはいけない時間が来てしまった。
ここは夕景もすごいだろうな(なにせ西向きに海が開けている)と名残を惜しみながら下りた。
弥彦山は、それなりの装備があれば初心者でも冬山登山が楽しめるところとのこと。
冬の澄み切った空気で遠景が望めればさぞかし気持ちがいいだろう、その時にまた来て、今度は自分の足で登りたいと思う。
だけど、大阪からの旅費がなぁ・・・