晩夏、燕岳へ・・・ 1日目

今年最後の夏山登山ということで、北アルプス・燕岳(標高2,763m)に登ってきた。
この山は日本二百名山にして、アルプス入門の山として有名。
一番一般的な合戦尾根登山道にはさほど危険な場所はなく、登山口から山頂までの累積標高は1,426mと山小屋1泊の登山としては手頃、登山口までバスが通っているし、おまけにそこには立寄り温泉があるというわけで人気も高い。
そのため、山小屋の予約も取りにくいのでも有名だったりする。
私も休日を1日ずらしたおかげで辛うじて取れたようなものだ。
 
登山口である中房温泉(標高1,454 m)を6:20分に出発。
ほとんど雲のない晴天の下、この時点で既に大勢の人がいるのがこの山らしい。
ここの合戦尾根ルートは「北アルプス三大急登」と呼ばれているのだが、春からこの山に登るために訓練をしていたのが良かったのか、それほどキツい感じはしなかった。
途中にはベンチが数か所、また、売店(合戦小屋)があるのだが、うまいぐあいに標高がほぼ200m上がるごとにあるので、それが目標になっているのも登りやすい。
 
10:30に標高2,380m地点にある合戦小屋に到着し、高山病に備えた高地順応のために1時間の大休止を取る。
ここの名物はスイカなのだが、さすがにもう季節が終わっていたのが残念。
だが、これぐらいの高度になると長袖シャツにパーカーを着ないと肌寒く感じてくるようになった。
おまけに休んでいると小雨が降ってきたので、予定よりも早めに山頂に向けて出発。
 
山頂近くにある山小屋・燕山荘(標高2,705m)に着いたのは13:15なので、休憩を除くとほぼコースタイムか。
既に多くの登山者(小屋泊まりの人も、テント泊の人もいる)で賑わっている。
大きな荷物は小屋にデポして、この日のうちに山頂に登る予定だったが、雨は降っていないものの厚い雲の中だったので明日に回すことにする。
夕食までずいぶん時間があるので、名物のケーキセットを食べたり、小屋の近辺を散策。
ガレ場あたりを歩いていると高山植物の女王、コマクサがまだ咲いているのを発見。
普通ならば7~8月に咲くものが、この猛暑で季節外れに咲いたものと思われるが、今年は見るチャンスに恵まれなかったので本当にラッキー。
 
そして、なんといっても良かったのは、ぶらぶら歩いているうちに、ライチョウ(雷鳥)に遭遇できたこと。
これまでアルプスには何度も登っているが、実は一度もライチョウを見たことがなかった。
ここ燕岳山頂近辺には棲みついて、よく見られると言われているので、今度こそは!というのがここに来た理由の1つでもあったのだ。
コロコロとした肢体とぶっとい足が愛らしい特徴的な姿を、1羽どころか一家族(だそうだ)5羽も見ることができたのはほんとうに嬉しかった。
一家で食事中らしく、かなり近くに寄っても逃げないが、それでも親鳥は子供を守る位置にいるのがさすが。
私も、他の登山者に「ここにライチョウいますよ!」と伝えて騒がしくするような野暮なことはせずに、そっとその場を離れた。
 
自然動物といえば、これも高地に棲む鳥であるイワヒバリも山小屋の周りでぴょこぴょこしていた。
こちらも相当人馴れしているらしく、人のいるところで平気で遊んでいる。
燕山荘のスタッフや登山者がいかにこれらの自然動物を大切に扱っているのかがわかるというものだ。
目的の1つであった穂高連峰に沈む夕陽は、雲が晴れなかったので見ることはできなかったが、その分雲間から光が差し込む、「天使の梯子」のスゴいのを見ることができた。
 
いくつもの目的が果たせて、大満足の1日目だった。
 
登山口は人でいっぱい。

登山口は人でいっぱい。

合戦小屋。盛夏を過ぎたらスイカではなく、お汁粉や豚汁を販売している。

合戦小屋。盛夏を過ぎたらスイカではなく、お汁粉や豚汁を販売している。

燕山荘に到着

燕山荘に到着

山頂方面は厚い雲の中。

山頂方面は厚い雲の中。

ひっそりとコマクサ。

ひっそりとコマクサ。

ライチョウの家族がお出迎え。

ライチョウの家族がお出迎え。

イワヒバリさんも元気。

イワヒバリさんも元気。

見事な天使の梯子

見事な天使の梯子