栗駒山-紅葉最盛期

そういえば書き忘れていた東北への紅葉登山の続き。
八幡平に続く2座目は栗駒山。
栗駒山(標高1,626m)は宮城、秋田、岩手にまたがる二百名山の一座で、秋には紅葉がみごとなことで有名。
登山口は秋田・須川温泉側からのものと、岩手・いわかがみ平側からの2つがあるが、紅葉の時期の須川温泉へのルートはとんでもなく渋滞するとのことで、いわかがみ平側から、それも早朝に出発することに決めた。
 
標高1,115m地点にあるいわかがみ平登山口の駐車場は紅葉期にはよっぽど早朝から行っても満杯になるので、標高840m地点にある臨時駐車場から臨時バスが出ている。
それでもその臨時駐車場すら満杯になるおそれがあるというので朝5時起き。
6:30に到着して7:00発のバス第1便を待とうとしたところ、バス停付近がえらくザワついており、中にはバスを待つことなく自動車道を歩いて登り出す人までいる。
係員に聞いたところ、いわかがみ平駐車場にバスの転回場所を塞ぐような駐車をしている車があるので、バスを出せないとのこと。
この件は地元新聞のニュースになったぐらいだが、ほんと、こういう自己中心的なことはやめてもらいたいものだ。
いつになったら運行開始できるか不明とのことなので、しょうがなく私も自動車道を歩くことにした。
標高にして250mほど追加ということになるが、天気のよい早朝なので、ゆるゆると歩けばまあいいかと。
 
1時間ほど歩いて7:30に登山口よりいよいよ登頂開始。
一般的なハイキングコースなので道は良く整備されていて、序盤は斜度もそれほどない。
ぞろぞろと多くの人が登っているので、道迷いの心配もなし。
紅葉した低木に挟まれた道を1時間ほど登り、ちょっと急な登りをよいっとばかり上がると、いきなり視界が開けて稜線全体が見渡せるようになった。
まだ標高1,400m程度なのに森林限界に到達したらしい。
日本アルプスの森林限界が2,500m程度なのに対して、さすが東北、かつ、「風の山」と呼ばれる栗駒山だけはある。
 
稜線全体が見渡せるようになって見えたのが、山肌全体を染める紅葉。
赤、紅、黄、緑と様々な色が緩やかな斜面に沿って一面に広がるとんでもなくカラフルな景色。
栗駒山一帯の紅葉は「神の絨毯」と呼ばれているが、まさにその名前に相応しい。
何枚も写真を撮るのだが、自分の目で見えるような立体的な広がりをもって撮れないのが残念。
それほど素晴らしい光景だった。
 
その一方で稜線に出ると風が強くなるので、ずっと止まっていると寒くなってくる。
もう目の前に見えている山頂に向けて歩みを進める。
実は栗駒山は活火山(一番最近の爆発は1944年)。
いわかがみ平側からだとよくわからないが、須川温泉側からだと噴気が出ている場所もあるのでよくわかるそうだ。
火山であるからか、山頂に近くなればゴロゴロ岩が増えてくる。また、山頂付近は斜度も急になるので、下から登山道の全容が見えるのだが、登山者が蟻の行列のようになっている。
いわゆる山頂渋滞というやつだが、自分もその1人に加わるわけなので文句は言えない。
「みんな好きだね~」と自虐的に思いつつ最後の急登をゆっくり上がって山頂に着いたのは9:15。
 
そこで今度は山頂標識で「登頂の証拠写真」を撮るための行列ができているのだから苦笑するしかない。
山頂には一等三角点と小さな神社。
一等三角点標識を踏むのはお約束として、この日は貿易実務検定C級の試験日なので私の講義受講者の合格を祈願しておいた。
山頂からはこれまで登ってきたルートだけでなく、秋田側の須川温泉方向も見える。
噴火でできた昭和湖やその周辺の荒れた地を見ると、上述のように栗駒山が火山であることがよくわかる。
 
さすがにこの時間では昼食には早すぎる。
コーヒーを飲もうにも、続々登ってくる人で腰を下ろす場所もないので、景色を十分に堪能して下山することにした。
登りよりも下りの方が風景を堪能できる。
日が高くなり明るくなったためにより鮮やかに見える「神の絨毯」を見ながらゆるゆると降りていった。
 
関西の山は針葉樹が多いのと、斜面がここまで緩やかな山が少ないのでなかなかこういう風景を見ることができないのだよなぁと思う。
東北方面には、栗駒山だけでなく安達太良山、蔵王、三ツ石、森吉山など紅葉の名所がまだまだたくさんある。
来年もこの時期には来ようと思った東北紅葉山行であった。
序盤の登りは木に挟まれた登山道。

序盤の登りは木に挟まれた登山道。

稜線に出て一気に広がる紅葉風景。

稜線に出て一気に広がる紅葉風景。

一帯の紅葉。

一帯の紅葉。

山頂渋滞の行列

山頂渋滞の行列

山頂到着!

山頂到着!